しなやかな腕の祈り
「…この男の人…あたしに…そっくりやんか…」



あたしが思わず呟いた時…



「あんたのお父さんやよ」



と、声がした。驚いて振り返ると、そこには練習を終えて帰ってきたお母さんが立っていた。



「勝手に入るんやないよ」



無表情で一言言うと、ベッドに座った。


「…お母さん、教えてほしい。夜まで待てないから。
何で突然スペインへ行ったのか…あたしの事、どう思ってんのか。
秀一叔父さんたちと何があったの???
何でお母さん、夜中に泣いてるの???
…お父さんは…どんな…」






「話すよ。黙って聞きな」






強い口調で、お母さんはあたしの言葉を遮断した。




それから、あたしは聞いた。




全てを。




お母さんの半生を。




そして始まるんだ。





あたしの憎しみのバイレが。
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