しなやかな腕の祈り
「これ…携帯に付けときな。御守りやよ」



ニコッとお母さんは笑って、ストラップを一つ差し出した。


「しかもお揃い!!!」



顔の横にストラップを持ってきて、笑っている。



「ありがとう…」



涙が出そうなのを"ぐっ"と堪えてストラップを受け取った。



「お母さんの電話番号ね。自宅と携帯。」



そう言って番号の殴り書きをされた紙切れもくれた。



「お母さん…お母さん日本には…来やへんの???




いつだったか聞いた質問をもう一度してみた。

お母さんと再会して二日目の夜に質問した事だ。

確かあの時は、お母さんが不機嫌になってしまって答えを聞けなかったんだ。



「勿論、行くよ。多嘉穂に会いにね。」


二度目の質問で、やっと聞きたかった答えを聞けた。



「約束やで!?」

「はいはい、約束やで。」



そんな会話を交わしていたら、空港内にアナウンスが流れた。



あたしが乗る飛行機への搭乗が始まった…そんなアナウンスだった。
< 58 / 137 >

この作品をシェア

pagetop