しなやかな腕の祈り
戻ってきた日常
日本に着いたのは13時間後だった。
セントレアまでは静香叔母さんが迎えに来てくれていた。
日本での生活が、また始まる。
日本の空気が久しぶりで、胸いっぱいに息を吸った。
「ただいまぁ」
家の玄関を潜ると、おばあちゃんが洗濯場から洗濯物を取り出して廊下に出て来た所にちょうど出くわした。
「おかえり多嘉穂」
いつものおばあちゃんの姿。
リビングへ入ると、いつものように秀一おじさんが煙草をくゆらせながらテレビを見ている。
いとこの一馬と茜は部屋で宿題をしていた。
「おじさん、ただいま」
あたしの言葉が聞こえているのかいないのか、叔父さんはテレビを見つめたままだった。
叔父さんは…あたしがスペインへお母さんを探しに行くのをよく思っていなかった。
むしろ猛反対した。
今なら分かる。
叔父さんはお母さんとあたしが会うのを拒んでいたわけじゃなくて…
あの日お父さんから突き付けられた条件を破った事で…お母さんにまた不幸が起きるんじゃないかと心配していたんだ、と。
セントレアまでは静香叔母さんが迎えに来てくれていた。
日本での生活が、また始まる。
日本の空気が久しぶりで、胸いっぱいに息を吸った。
「ただいまぁ」
家の玄関を潜ると、おばあちゃんが洗濯場から洗濯物を取り出して廊下に出て来た所にちょうど出くわした。
「おかえり多嘉穂」
いつものおばあちゃんの姿。
リビングへ入ると、いつものように秀一おじさんが煙草をくゆらせながらテレビを見ている。
いとこの一馬と茜は部屋で宿題をしていた。
「おじさん、ただいま」
あたしの言葉が聞こえているのかいないのか、叔父さんはテレビを見つめたままだった。
叔父さんは…あたしがスペインへお母さんを探しに行くのをよく思っていなかった。
むしろ猛反対した。
今なら分かる。
叔父さんはお母さんとあたしが会うのを拒んでいたわけじゃなくて…
あの日お父さんから突き付けられた条件を破った事で…お母さんにまた不幸が起きるんじゃないかと心配していたんだ、と。