しなやかな腕の祈り
不安がる裕子さんの隣をそう呟いて通り抜けた事が
本格的に2人が繋がっていくキッカケになった。
穏やかで明朗な裕子さんに相対して、母はいつも無口で
本当に無愛想で、つかみ所のない女。
だけど、現地の人たちを押しのけていきなり
同期のバイラオーラのトップに君臨する『女帝』になった。



学校を卒業して、裕子さんはスタジオの専属バイラオーラに、母はスペインでも1.2を争う大劇団の
第一舞踏手になった。
それからお互い忙しい毎日を過ごして、久しぶりに会って小旅行に行った時
裕子さんは母から今までの自分の事や
家族の事を初めて話した…
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