満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「頑張ってね。」

glasses witchはクスリと笑うと掌を二人に向ける。

それに連動し矢は動き始める。

ヒュン、ヒュンと矢は一本一本射られたように統一のない動きで飛んでくる。

角度、速度がそれぞれに違う。ただその矢に共通していることがある。

それはその矛先寸分たがわず誠と千草に向けられていること…。

「黒岡くんっ。」

千草がそう言った瞬間に、誠は千草の脇に並んだ。


迫る矢。

が、それまでだった。

矢は千草の周り半径2mに侵入することなく聖域によって無に帰っていった。

その光景を笑みを絶やさぬまま見つめるglasses witch。

その顔に滲み出るのは聖域にも動じることはない純然たる余裕だった。

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