満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
クスクス、クスクス。

笑っている。

綾香ではない、悪魔が…。

「これからが本番よ。」

glasses witchと悪魔、二つの声が重なった。


クス。


glasses witchは掌を二人に向け炎を放つ。

何の変哲もないただの炎…。

それだけの物。

聖域に入れば消滅する魔法の炎なはずだった。

「千草さん。」

誠は横に飛び、千草と共に地面に倒れこむ。

その二人の横を熱風を撒き散らしながら炎が通過していった。

「聖域を…貫いた。」

千草と誠は体勢を立て直しながらglasses witchを見た。

これが悪魔の力……。

魔法を無効化する聖域、それを、その常識をいとも容易く打ち破る。

魔女本人のみでなく他者の常識、力までひっくり返す存在。

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