満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
火球は二人に近づき、再び聖域を侵すはずだった。


バチィ。

火球は聖域をと重なると物理的な障壁にぶつかったかのように空中に停止し、徐々に削れるようにその大きさを減らしていく。

そして、火球は消えた。

それを見ているglasses witch。その表情は苛立ちを表し、苦虫を噛み潰したようだ。

「なかなか、面白いことしてくれるじゃない。」

glasses witchの目には見えていた。

千草が発生させた聖域。そしてそれに重なるように存在するもう一つの聖域。

「魔法使いに聖域を使わせるなんて…」

そう、千草の聖域に重ねられているの誠の聖域。

誠は魔法使いという存在でありながらチェーンが使う聖域を使っていた。

重ねられた聖域はいわば二重の鎖、そして今のglasses witchの魔法は一つの鎖を打ち消すもの。

ここで再び、glasses witchの魔法は攻め手となり得なくなった。

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