満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
これがチェーンの対悪魔用の戦法である。

そしてその為に千草は誠に聖域を教えていた。

その行為は半分以上は賭けだった。

魔法という神と対局な存在。

鎖を解くモノと鎖で縛るモノ。

相反する力の共存。

何故可能なのかは解らない。しかし実際それは可能で、誠がそれを体現していた。

「それじゃぁ…。」

glasses witchが呟く。

そして誠の視界から消えた。

「こうしようかな。」

次に聞こえたglasses witchの声は自分の真後ろからだった。

声に反応して振り返る誠は見た。振り抜かれる杖とそれに弾き飛ばされる千草の姿を…。

「こうすれば問題ないのよね。」

glasses witchがしたことは二人の分断。

聖域が重なっていなければ悪魔の魔法は防げない。

「千草さんっ」

誠は軽く舌打ちしながらglasses witchとの間を開き、千草に目をやる。

倒れたまま動かずグッタリとしている。

少なくとも気絶はしてしまっているようだ。

これで形勢は一気にglasses witchに傾いた。


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