満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「それにしても本当に詳しいね。伊藤くん…だっけ」

千草はチョコんと誠の横に腰を降ろしてイトーを見た。

声をかけられたイトーはキラッと目を輝かせた。

「ども、中村 騎士(ナカムラ ナイト)って言います。」

「え?」

千草は虚を突かれたように口を半開きにしたままキョトンとした顔をした。

あぁ、そういえばこの二人ちゃんと話するの初めてだったな。

誠は一度、千草から顔を背けてフゥっと煙を吐き出した。

「っと、コイツ。イトウじゃなくてイトーなんスよ。」

「ナイトの後ろの二文字をとってイトーってあだ名です。」

千草は誠の言葉に呼応するようにゆっくりと口を閉じ何度か頷いた。

「まぎらわしいでしょ?高校ん時も俺のこと伊藤って名字だって思ってた奴いたよ~。」

「サスガにね~。」

イトーはニコニコと笑いながら話している。千草と話が出来ていることが嬉しいのだろう。

「ナイトって名前、小さい頃はカッコいいかなって思ってたけど、高校過ぎるとね…。」

ケラケラとイトーが笑い、それにつられて、千草もハハと小さく笑った。

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