満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「今の誠は呼吸の仕方も知らずに水槽から飛び出した金魚。」


「くそっ。」

誠は舌打ちまじりに切れた口内から血を吐き出した。
意識は朦朧としてくる。それはglasses witchの蹴りのせいだけではない。


「…時間がないってことだよな。」

誠は叫び両手の炎の刀をglasses witchに振るう。

が、その刃は避けることもしないglasses witchの体を通り抜けるだけであった。

「無駄よ。本人の存在が消えかかっているのだから…。もちろん、その魔法も…。」


「…消える。」

glasses witchは続ける。

「でもその前に…」

クスクスと笑うglasses witch。

「その魂。悪魔に取られるかもね。」

クスクスと笑い続けるglasses witch。


その視線は誠の足元、誠の影から這い出てくる漆黒を纏う者に…。
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