満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
…………本題なんだっけ?

笑っている二人を眺めていた誠がハテナと首をかしげる。

その視線に千草が気付き、ハッとした。

「そうだ。イトー君なんでウチのことそんなに詳しいの?」

「ストーカー?」

千草はハッとした顔でイトーを見つめた。無論、ボケではあるがイトーからツッコミが帰って来ない。

イトーはエッ?という感じに目を真ん丸にしてピタッと止まった。

「あぁ、コイツ気を付けた方がいいですよ。つけられますよ(笑)」

誠は千草の上にボケを被せる。その目は笑っている。

イトーは友からのいきなりのフリにギョッとしている。雰囲気からしてシッカリと固まっているようだ。

…………………………。

……このフリはまだ無理だったかな?

正味な話、イトーはもともと重度の人見知りである。大学に入ってから初対面の人間にも適当に話は出来るが、いきなりのボケには対応が出来ないらしい。

「…さて、でイトーなんで?」

誠はイトーに見きりをつけ、話題を元に戻した。

「ん、あぁ。」

イトーはフリーズの状態から戻って来れたようだ。
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