満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑

２ 会合

2-Ⅰ

「ふぁ～～」

誠は夜道を家路に向かい歩いていた。

誠の家は大学から徒歩15分程度にある古いアパートである。

実家から通うことも出来るが、独り暮らしというものを経験しておいた方がいい、という理由で家から出された。

もともと誠も家を出ることを望んではいたが。

「今夜は満月か。」

誠は夜空を見上げ呟いた。

glasses witchの四件目の犯行があってから約一ヶ月、イトーが言っていたとうりだとすると今日が五件目の犯行が起きる日である。

もちろん、イトーから「今夜glasses witchを捕まえるぞ。」という電話連絡があったが、誠はサラッと聞き流した。

今頃、イトーと千草はどこかを走り回っているのかもしれない。

そんなことはどうでもいいように誠は静かに煙草にに火を着けた。

スパー。

誠は勢いよく煙草の煙を吐き出す。

周りには他の人は見当たらず、人目を気にする事もない。

22時も過ぎればこの辺りはほとんど人が通らない。