満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「その猫、返してもらえる?」

暗闇から響く足音と共に美しい声が響く。

黒猫はその声に反応してかフーっ、と唸っている。

…飼い主か、ペットショップの店員かな?

それにしても上からな物言いだな…。

コツン、コツンという足音は変わりなく近付いてくる。

足音はペットショップの脇から聞こえてくる。

誠は黒猫を抱いたままソチラの方に歩いていった。

黒猫は相変わらず唸りをあげている。

…よっぽど嫌われてんだな。

「ありがとう」

その声が聞こえてくるのと同時にペットショップの脇から声の主が姿を現した。

三角のハットに短いマント、黒いピッタリとした美しい体のラインをあらわにするTシャツに黒のショートパンツ。

黒一色の衣装から伸びる手足は細く白い。

美しく整った顔にはべっこう色の淵の眼鏡がちょこんと乗っかっている。

……………………。

………………………。

……何かのコスプレか?

誠は思わず歩を止めていた。
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