満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「ん?」

コスプレの主は歩みを止めた誠に近付きながら、首をかしげた。

…おっと。

誠はそれを見て我にかえった。

……どんな格好してようが個人の自由だからな。

誠は黒猫の脇に手を入れ差し出した。

結果、黒猫は前足を突き出した状態でプラーンとぶら下がっている。猫は慣れているようでおとなしい。

「どうも」

女性はニッコリ笑いながら黒猫を受けとるために手を伸ばした。

「ほい。」

ニ゛ャ。

猫は女性の胸に収まると、またジタバタとあばれはじめた。

女性の白い腕に猫の小さなヒッカキ傷がつく。

「…大丈夫ですか?腕?」

誠は黒猫から視線を外した時、女性が手に杖を持っていることに気が付いた。

1mを欠く位の杖。最近作られたのだろうか木の部分は真新しい感じがする。そして杖の頭の部分は三爪のようで石を掴んでいる。

……こってるな……。

女性はその誠の視線に気付いたようだ。スッと杖を自分の後ろに隠した。

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