満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
…おかしすぎるだろ。

さっきはあれほど響いていた靴音も一切聞こえない。

…なんなんだ。

誠は思い出したようにユックリと煙草の煙を吸い込んだ。

そして天に向かい静かに白い煙を吐き出す。

吐き出された煙は丁度満月に重なり、月にモヤをかけた。

…………。

「は?」

誠の視線の先には満月が輝いている。

「んな馬鹿な……。」

月にかかったモヤがユックリと晴れていく。

モヤが完全に晴れた時、誠は自分の目を疑った。

夜空の中央、満月の中では、黒猫を抱いた魔女が飛んでいた。


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