満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
綾香の部屋、一角を除いて普通の女子大学生の部屋である。

普通女子大学生の部屋と違う点、それは部屋の片隅に集められた盗品の存在である。

普通は読めない古代文字で書かれた本、どうにか目の前の物を写している鏡。

そして木の杖、頭の部分には石が乗っかっている。推察するに神社の御神木と隕石だろう。

…盗品か、そういう意味じゃ、コイツも同じかな…。

誠は自分の膝の上で丸まっている黒猫の頭を撫でた。

ガチャ。

部屋の戸を開けて彩香が入って来る。誠に飲み物でも持って来たのだろう。手にはトレイを持っている。

「お待たせ~。」

綾香はそう言いながら誠の前に麦茶の入ったコップを置いた。

綾香は自分の前にもコップを置き、一口、麦茶を飲んだ。

「それで、今日はどうしたの?」

綾香はケロッとした顔で誠に質問した。

…この人は…。

誠は静かにため息を吐いた。

「昨日なんだけど、ニュースでやってるglasses witchが出たっていうペットシッョプの近くで、変なコスプレをした女に会ったんだ。」

綾香はウンウンと頷きながら聞いている。

「それで…、そこで黒猫をみた。」

「コイツとそっくりのね。」

誠は自分の膝の上でくるっと丸まっている黒猫を撫でた。
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