満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「はい、これ正(ただし)先生から。」

…正さんから?

-学祭での学部展示実行委員について-

…………?

「これヨロシクって。」

「はい?」

「実行委員をヨロシクって正先生から。」

実行委員ってたしか、男女各一名で立候補で決めるんだよな?

「なんで俺が?」

「男子は立候補が無かったかららしいよ。女子も私だけだったし。」

だから、なんで立候補がないからって俺が…。

「正先生が誠は断れないだろうって…。」

あぁ、単位ヤバいのを見逃すからコレやれってことか…。

はぁ、誠は溜め息だけを吐きたした。そこに含まれているのは諦めだろう。

「了解です。で、コレって何すればいいんスか?」

誠はプリントをマジマジ見つめながら言った。

「ま、詳しい話はまた後でするから。そろそろ授業いかないと…。でしょ?」

そう言って千草は立ち上がった。

誠もそれにつられて腕時計を見ると時計の針は昼休みの終わる五分前を指していた。

次の授業は…。正さんか、今ので単位は確定したしな…。

「いってらっしゃい。」

誠はヒラヒラと千草に手を振って見せる。

「サボり?どうなってもしらないわよ?」

「彼、イトー君だっけ?彼と一緒に?」

「多分ス。」

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