満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「誠だって昨日見たでしょ?アタシが空を飛んでるとこ。」

ズルズル。ズルズル。

っ…………。

誠は言葉に詰まる。

「んなアホな…。」

誠はやっとソレだけを絞り出した。

ズルズル。

「アホってなによ。アタシより頭悪いくせに。」

…確かに綾香ネェの方が頭は良いけども、つうか綾香ネェの偏差値、軽く75は越えてるけども。そういう話じゃぁない。

「いや、魔女って…。」

「んーと、そこに本有るでしょ?」

ズルズル。

綾香は麺をすすりながら箸でアノ盗品の本を指した。

「それが魔導書、つまり魔法のHow to本ね。」

シャクシャク。

今度は白髪葱を食べているようだ。

「それからそっちの羊皮紙が魔法を使うための契約書。」

シャクシャク。

「契約しないと道具があっても魔法が使えないわけなのよ。」

シャクシャク。

「で、そっちの杖がその道具のひとつね。今のところは空を飛ぶこと位しか出来ないけど。」

ズズー。

スープにたどり着いたようだ。

どうやら誠は綾香の言うことを信じざるおえないようだ。

「その鏡は?」

誠が口を挟んだ。

その鏡は千種の祖父の家から盗まれたものである。
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