満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
3 初仕事
3-Ⅰ
二日後、誠は自分のアパートの部屋にいた。
窓の外には欠け始めたばかりの月が静かに輝いている。
部屋の中は明かりもつけられておらず、月光だけが部屋の中を照らしている。
誠は火のついていない煙草をくわえたまま、開け放たれた窓から月を眺めていた。
誠はその状態のまま右手の親指と人差し指を合わせる。
そして人差し指につけた親指をシュッっと擦り下げた。
ポゥっと部屋の中に優しい灯りがともる。
誠の人差し指の指先の数ミリ上にマッチでつけられた様な炎が存在している。
手を動かし、その炎を煙草に近づける。
静寂な部屋の中にジジっという煙草の巻き紙に火がつく音がする。
誠は煙を静かに吐き出し、自分の人差し指の上で燃える炎を見つめた。
炎は小さな風にも反応してユラユラと揺らめいている。しかし、この炎は風に吹かれて消えることはない。
誠は親指を炎の上から被せ、炎をけした。
「炎が熱い。そんな常識は捨てちゃえばいいのよ。」
誠の脳裏に二日前、綾香の家を訪れた時の記憶が蘇る。
窓の外には欠け始めたばかりの月が静かに輝いている。
部屋の中は明かりもつけられておらず、月光だけが部屋の中を照らしている。
誠は火のついていない煙草をくわえたまま、開け放たれた窓から月を眺めていた。
誠はその状態のまま右手の親指と人差し指を合わせる。
そして人差し指につけた親指をシュッっと擦り下げた。
ポゥっと部屋の中に優しい灯りがともる。
誠の人差し指の指先の数ミリ上にマッチでつけられた様な炎が存在している。
手を動かし、その炎を煙草に近づける。
静寂な部屋の中にジジっという煙草の巻き紙に火がつく音がする。
誠は煙を静かに吐き出し、自分の人差し指の上で燃える炎を見つめた。
炎は小さな風にも反応してユラユラと揺らめいている。しかし、この炎は風に吹かれて消えることはない。
誠は親指を炎の上から被せ、炎をけした。
「炎が熱い。そんな常識は捨てちゃえばいいのよ。」
誠の脳裏に二日前、綾香の家を訪れた時の記憶が蘇る。