満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
イトーはゴソゴソと鞄をあさる。

「たしか、ここら辺に。」

あった、あったと言いながらイトーは鞄から携帯の電池パックを取り出し、手早くそれを変える。

「あれ?電源がつかない。」

「は?大丈夫かよ。それ。」

誠が心配そうにイトーの携帯を覗き込む。

「データだけでも確認しないと。イトー、SDカード貸せ。」

イトーは、あぁ、と言いながらカードを誠に渡した。

…雷…。

誠はSDカードに電流を流す。

「イトー、SDからデータ出せないんぞ…。」

そう言って誠は自分の携帯をイトーに渡した。

…はぁ、成功かな?

「はぁ、うっそ~。」

慌てるイトーをよそに千草が誠の掌を静かに、鋭い眼差しで見つめていた。
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