満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑

3-Ⅳ

イトーの携帯全壊から四日後の夜。

誠は綾香の部屋にいた。

誠が綾香の家に着いた時には綾香は既に魔女っ娘スタイルに着替えていた。

「ん~、その格好はちょっとダメかな。」

それが誠が家に着いた時の綾香の第一声である。

誠の服装は黒のデニムに黒のTシャツ、夜であるならばあまり目立つものではない。

そして現在、誠は黒い革のパンツと黒い革のトレンチコートを着ていた。というか上半身はトレンチコートのみである。

「綾香ネェ?この格好の意味は?」

誠の顔に一筋の汗がたれる。

それがこの奇異な格好のせいか、夏に革のトレンチコートを着せられているからかは分からないが…。

「んー。なんとなくソレっぽいかなって感じ。」

綾香はまだそう言いながらもまだドコか満足いかないようである。

「ちなみに綾香ネェのその格好は…?」

「ん?これは純然たる趣味よ。」

そうキッパリ言ってのける綾香に誠は少しガクッとなった。

……………趣味って…。

「とりあえず、この格好に意味が無いなら着替えるよ。暑いし。」

誠はトレンチコートを脱ぎかける。

「誠、ストップ。」

「なんで?」

流石に誠も多少イラついている。

「その格好に意味は無いけど、その服には意味があるの。だから着てなきゃ駄目。」

…は?

誠はトレンチコートを脱ぎかけたまま意味が分からないと言うようにキョトンとしている。

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