満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
ポイっ。

誠は手にしていた煙草を火の付いたまま放った。

煙草は軽い弧を描きながらユックリとイトーのハーフパンツの上に落ちる。

「っと、ぉわっっ」

イトーはバタバタと足を動かしながら煙草を地面へとはたき落とした。

「あっぶねぇ」

イトーはそう言いながら足元の煙草を踏み、火を消す。

誠は我関せずといったように小振りのシガーケースから煙草を抜き取り口にくわえる。

「コラ、シカトすんな。」

誠の目の前ではイトーがオーバーリアクション気味にバタバタと煙草の落ちた部分を叩きながら誠に抗議している。

が、誠はマッチを取り出すと火をつけた。

チャッという音を空間に伝えながら火薬は摩擦熱から火を産み出した。

それと共に花火のような燐の香りが辺りに広がる。

誠は燐が燃え付き、木に火が燃え移ってからマッチを煙草に近づけた。

スゥッと息を吸い込むと口の中に煙が入って来るのが分かる。そしてそのまま煙を肺までゆっくりと送り込む、

ふぅぅ、誠はしっかりと白い煙を吐き出した。

「なんか言ったか?イトー?」

誠の目がマジになっている。

この目はヤバイ、イトーは瞬間的に威圧感とも殺意ともとれるオーラを感じとった。

「…………いや、なんでもない。」



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