満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
フワリ。

綾香は杖に腰掛けると宙に浮かんだ。

「行くよ。」

綾香は誠に向かってクイクイと指を動かす。

「行くよって、わっ。」

誠は宙に浮かんでいた。

「あ?どうなってんだ?」

誠自身は魔法を使っていない。

まったくの不意の出来事に誠は軽く足をバタバタさせている。

「言ったでしょ。そのコートには魔法がかけてあるって。」

綾香はそう言ってフワフワと窓に近づいていく。

…そういう事なら言っといてくれ…。

誠は黙ってフワフワと浮かび綾香に近づく体を流れにまかせていた。

ビー。

ペタペタ。

「何やってんの?」

「見て分かんない?窓にガムテープ張ってるの。窓割るとき音するでしょ。」

「はあ?」
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