満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
マントは綾香から溢れ出る魔法の波動に揺れる。

そして綾香は何もない空間に向かい杖を構え、

横真一文字に振った。

すると、杖は数m先の空間はピキピキと音を立てながらひびを作り、硝子を割ったように崩れ落ちた。

空間が割れた所には全くの黒が広がり、ただ闇が支配している。

瞬間、闇の中から何かが飛び出した。

「な…」

闇から飛び出して来たモノ。それは…ただのコウモリだった。

…なんでコウモリが?という疑問を誠はぐっと飲み込み、綾香の様子をうかがっている。

「こんばんわ。アナタは誰の使い魔さんかな?」

綾香はコウモリに向かってゆっくりと近寄りながら、問い掛ける。

一瞬の沈黙が通り過ぎた後、コウモリはキキッと一度鳴くと闇の中に消えた。

< 54 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop