満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「今のは…?」

恐る恐る誠は綾香に疑問をぶつけた。

………が。

「秘密。」

綾香はそう言ってクスッと笑った。

…秘密ってオイ。

「それより誠~。」

「ん?何?」

「そこ…」綾香が続く言葉を発しようとした瞬間。

「ぐわっ」

誠に後ろから衝撃が走った。

重い、重い衝撃だ。

その衝撃で誠は吹っ飛ばされた。

「そこ危ないから避けてね~。」

と言う綾香の横を誠が吹っ飛んで行く。

遅いって、とかいうツッコミをする暇もなく…。

誠が吹っ飛ばされていく先はコンクリートの壁。

今のスピードのまま叩きつけられたら、無傷ではすまないだろう。

その時、綾香が誠に杖を向けフッと振る。

それと同時に吹っ飛ばされている誠が空中で一瞬ピタッと制止し、ドサっと地面に落ちた。

「気をつけろって言ったじゃない。」

綾香は背を向けたまま誠に言い、誠からはどうにか成立している声で「遅いよ」というツッコミが返ってきていた。
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