満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「今度はどこの人かな?」

そう言う綾香の目は少し笑っている。その視線の先。

一人の人間が立っている。

全身を覆う黒。

黒い修道衣に口元、鼻まで隠した黒いべール、全身を黒で覆っている。

しかし、その手元には月の光を浴び、淡い光を放つ身の丈程の銀の槍が握られていた。

姿から分かるのは女という性別ぐらいだ。

「教会の関係者の方かな?」

綾香はそう言いって、緩やかな笑みを作り、相手を見つめた。

辺りに立ち込めるのは、その場に近づきたくなくなるような、威圧感のある空気。

綾香の後方ではヨロヨロと誠が立ち上がろうとしていた。
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