満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
闇夜をほんのりと照らす月の下。

対峙している二人、一人は唯一外界にさらされている瞳で、一人は背中に感じる魔力の波動で誠の行動を認識した。

誠は炎を宿した拳を相手に向けて投げ放つ。

矢の様に飛ぶ拳程の小さな炎は目標に向かいながら、徐々に大きさを増し、最終的には人の頭程大きさになった。

…少しやりすぎたか?

誠は多少後悔しながら火球を見つめた。

やられたダメージ分は返したいがパッと見て、相手にはそれ以上のダメージが加わってしまうだろう。

が、女はその場から微動だにせずに立っている。

そして、無造作に槍を横一文字に振り抜いた。
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