満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
…魔女……。

綾香姉のことか…。

誠がソレを理解した時…。

一つの事実を理解した。

「昨日の女って…」

そこまで誠が言葉を発した時、千草は床を蹴り、誠との間合いを一気に詰めてきた。

「はっ」

千草は気合いと共に槍を真一文字に振るう。

咄嗟に後ろに一歩跳ぶ誠。

鈍く輝く槍は美しい弧を描きながら闇を斬った。

……マジかよ。

誠は擦り潰す様に掌の炎を消すと、闇に身を埋めた。

室内は闇が支配した。

視界はゼロ。両者とも何も見えない。

…どうするかな、逃げろとは言われてるけど…。

何なのか確認くらいはしたいな…。

完全な暗闇の中、音も出さずにいれば簡単に位置を特定されることはないだろう。

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