満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「闇に隠れる気?」

千草の声が聞こえる。何か感覚が一つ削がれた様にその声だけでは位置を特定できない。

聞いたことのない声色、挑発するような千草の声には多少イラっとするが、実際、誠には隠れていることしかできない。

昨日のこともある。魔法をぶつけたとしても、自分の位置を知らせるだけで意味がないかもしれない。

誠がそんなことを考えていた最中。

黒が支配していた部屋の中に光が灯った。

電気がもどった。

千草がもどしたのか…。

ただ、蛍光灯は何事も無かったかの様に光を放ち、二人の瞳に辺りを認識させる。

「残念ね。」

千草はそう言いながら槍を構えた。
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