満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
…どうしたもんかな。

誠は現状に対して何かができるわけではない。というか、まだ何が出来るか思いつかない。

魔法は消され、身体機能はさっきの動きをからすれば敵いようもない。

何故、魔法が消され、何故、あんな動きができるのか。それが解れば何らかの対処はできるかもしれないが…。

「何を考えているの?君のいるのはもう聖域の中よ。魔法は使えない。」

…聖域?ってなんだ?聖域では魔法は使えない?

理解を得ない誠の顔に千草は言った。

「何も知らないようね。その様子じゃ。」

「成り立て…か。」

千草はそう言うと静かに槍を誠から離した。

それほど警戒する必要もないな、とでも言わんばかりに千草の瞳から力が抜けた。

「なんで?」

千草の声がいつもの口調で届いてくる。

「は?」

誠はさっきと変わらぬ姿勢のまま固まっている。

「警戒しなくてもいいよ。殺しはしないし…。」
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