満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「…に……逃げろ…。」

炎の塊から声だけが飛んでくる。


「残念ね。聖域を過信したのね。」

炎塊の傍らに立ったglasses witchは小さく艶やかにクスリと笑った。


パートナーが死亡、またはそれに類する状態になった場合……、すみやかにその場を離脱すること…。

これは掟ではなく上層部からの命令。

どちらでも意味は同じだが…。


「掟だろうが命令だろうが…。

先輩を

置いて行けるわけないじゃないですか。」

千草は鷹乃尾に駆け寄る変わりにglasses witchを睨み付けた。

鷹乃尾を燃やしているのは魔法の炎。

水をかけてもおそらくは消えないだろう。

しかも何故か、どのしてか理解出来ないが、魔法を無効にする聖域が機能していない。

ならば炎を消す手段はひとつglasses witchの意識を断つ。

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