満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
6 困惑と決意

6-Ⅰ

プルルルル、プルルルル………。

誠は携帯電話を耳に当て、沈鬱の表情で流れる呼び出し音を聞いていた。

…千草さんから聞かされた話は正直すぐには信じられない。

が…嘘をつく必要もないだろう。

俺をそのまま解放した理由も…。

本当なんだろうか。綾香姉ぇが人を殺した。そして世界を滅ぼそうとしているなんて…。

それが真実なら………。


俺は、どうしたらいい?

まだ、千草さんには綾香姉ぇがglasses witchだってことは言っていない。

言うかどうかもわからないけど、言うなら真実が解ってから……。


プ。

呼び出し音が止み、夜の闇を越えて彼女の声が聞こえる。


「誠~どうしたの?」

綾香の楽天的な声が電気信号に分解されて誠の鼓膜を揺らす。
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