36.8℃の微熱。
Chapter.1*平熱
最悪の拾い主
ひ、ひぇぇぇっ・・・・!!
西日が差し込む教室。
廊下を歩く人は誰もいない。
少し開いた窓からは春の風が優しく吹き込み、クリーム色のカーテンをはらはらと揺らす。
そんな中、あたしは目の前にいる大嫌いな人に黒板まで追い詰められ・・・・ぴとっ。
うそぉ〜。
とうとう、ひんやり冷たい黒板があたしの背中を定規みたいにピンとさせた。
あたし・江田茜。15歳。
人生それほど生きていないのに、ただ今“人生最大のピンチ”を迎えています。
「コレ、返してほしいんだよね? だったら俺の言うこと聞いたほうが身のためだと思うけど?」
顔と顔との距離わずか1センチ。
あたしの弱みを握るその人は、端正な顔立ちを悪魔のごとくニタァとさせて“コレ”をブラブラと揺らす。
「・・・・だ、誰が!誰が先生の言うことなんて聞きますかっ!!」
あたしは負けじと吠える。
だって、だって、だってぇーー!!
「ふ〜ん。じゃあ、もらっちゃおうかなぁ。ちょうど新しいのがほしかったんだよね〜」
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