36.8℃の微熱。
「───って台詞、最後に言えただけでもう満足だよ」
「へ? ・・・・あ、ああ、そう・・・・なんですか。満足・・・・ね、満足」
「うん」
小春さんのこと、だよね。
うんうんそうそう、分かってる。
あたしに言ったんじゃないってことくらい、最初っから・・・・。
けれどドキッとしたものはもう取り返せなくて、あたしはそれをすぐにはうまく処理できなかった。
そういえば・・・・。
前にもあったなぁ、先生に顔を近づけられてドキッとしたこと。
王子の手を握ったときも、今みたいにドキッとしたっけ。
・・・・っていうことは、はっ!
あたしって根っからの浮気性の持ち主だったりしちゃうのか!?
あっちでもこっちでもドッキドキしちゃってさ、いつか『ドキドキの大安売りかー!』って言われちゃうかもしれない。
「・・・・先生、さっきは言いすぎました。ごめんなさい」
「はっ? なに、いきなり」
「女子の気持ちが分からなすぎ、とか。あたしだって女子のくせに分かんないもん」
浮気性なんて最悪だぁ。