36.8℃の微熱。
でも、今日の王子は───・・。
「きゃー・・・・」
思わず小さなつぶやき。
こんな王子、見たことない。
食べかけのメロンパンを左手に持って、飲みかけのコーヒー牛乳のパックを右手に持って。
すーすー・・・・。
かわいらしい寝息を立てていた。
「めっちゃかわいい〜」
腕を枕代わりにしてこっちを向いて寝ている王子は、そう言うほかに説明のしようがないけれど。
ちょっぴり開いた口の端にメロンパンの食べかすが付いているところなんか、たまらなくかわいい。
「お隣、失礼しまーす・・・・」
王子の柔らかそうな黒い髪が陽の光にキラキラ輝いていた。
そっと隣の席に座って顔を覗き込むと、伏せられたまつ毛がすごく長くて綺麗なことに気づく。
目にかかる長めの前髪が、王子が静かに息をするたび背中の上下に合わせてサラサラ動いている。
「・・・・王子って、ホントに王子様だったんだぁ」
見れば見るほど王子様。
どこをどう見ても王子様。
とくん、とくん、心臓が跳ねた。