36.8℃の微熱。
 
そぉ〜っ・・・・ぴとっ。

指先に全神経を集中させて、まずはソフトタッチで髪質をご堪能。

それから、ハープを奏でるみたいに右へサラリと流してみる。


「サラサラだぁ。柔らかいぃ〜」


まるでシルクみたい・・・・。

男の子の中にもこんな髪の人がいるんだなぁって、ちょっと感動。


「もう1回・・・・」


こんなに近くであたしが興奮していても、髪を触られても、王子は全く起きる気配がなく。

その手触りが心地よくて、あたしはしばらくの間、飽きることなく王子の髪を触り続けた。


「ふぁ〜あ〜・・・・」


けれどそのうち眠くなって、あたしも王子と同じ格好で机に覆いかぶさることにした。

もちろん顔だけは王子に向けて。

お昼ご飯を食べたばかりで、とても静かな図書館で、ポカポカ暖かくて、しかも隣には王子の寝顔。

安眠、安眠。


目を閉じると、王子の寝息がさらにはっきりと聞こえた。

あたしもそのリズムに合わせて息をしてみる。そして・・・・。


「おやすみ」


ぐー、ぐー、ぐー。
 

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