36.8℃の微熱。
 
携帯を持ったままカチコチになっていると、王子はあたしの手からそれを静かに抜き取り。

自分でももう一度読み返しながら決まり悪そうにこう言った。


「・・・・宇佐美さんっておもしろいよね、その〜、いろいろと」

「う、うん」


おもしろいっていうか、あたしにはメールに書いてあった通りの薄情にしか思えないんだけど。

でも、王子がそう言うならと、とりあえず話を合わせておいた。

それからはもう、ユカちゃんの変なメールのせいでギクシャクしちゃって、お互い目も合わせられないまま微妙な会話に・・・・。


「か、帰ろ・・・・っか。送るよ」

「え?」

「まだ襲ったりしないよ」

「・・・・へっ!?」

「冗談だって」

「あははは、そっか」


こんな具合に、ぎこちなくて弾まなくて、これと似たような会話が塾に着くまで続いた。

・・・・ユカちゃんめ、覚えておれ。





「・・・・じゃあ、もうここで。送ってくれてありがとね」

「いや」


と、塾の前でまたまたぎこちなくなるあたしたち。
 

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