36.8℃の微熱。
 
そうかな。

そうだったらいいな・・・・。


「んもぅ、なに朝からババくさい顔してんのよ。早くしないと担任来ちゃうよ、茜ちゃん!」

「あ、うんっ」


そうして、先に靴を履き変えていたユカちゃんに急かされ、あたしも急いでローファーを下駄箱に突っ込んだ。

普通、普通、普通が一番。

いつも通りに「おはよー」って、そう言えば大丈夫だよね、うん。





けれど───・・。





「おっはよー、浅野君!」

「あ、宇佐美さん。おはよう。江田さんもおはよう」


ぬわっ!! むむむ、ムリだー!!

どうして!? なんで今日はよりにもよってステキメガネなんかかけているのよ王子っ!!

そのメガネ姿は反則だよ・・・・。


「・・・・うっ!うん」

「今日は2人一緒だったんだ。また遅刻かと思って、今メールしようと思ってたよ」

「あ・・・・うん、ありがと」


ひとたび王子の顔を見たら普通でいることなんてできなくなって、あたしだけ勝手にギクシャク。

まともに目も合わせられない。
 

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