36.8℃の微熱。
「ちょっと!朝のはないよ〜」
「・・・・だよねぇ。うんうん、分かってる。分かってますとも」
「意識しすぎ、茜ちゃん!」
「はい・・・・」
それから小一時間。
右から左へ聞き流すだけで終わったホームルーム、生物の授業を経て、あたしは今、ユカちゃんにお説教をされている。
ほかのクラスメイトに呼ばれて王子が席を離れた直後だった。
「ねぇ、そんなに意識するって、もう相当好きなんじゃないの?」
痺れを切らしたように、ユカちゃんがため息をつきながら聞く。
でもそれにも、あたしは同じようにため息を返すだけ。
王子のことを“いいなぁ”とは思ったけど、ユカちゃんが言うような気持ちがあるかどうかは、今のところはっきりしないんだ。
「もしかして例の先生のこと気にしてんの? 茜ちゃん、俺様は嫌だって言ってたじゃん」
「嫌だよ? 嫌だけど、正直ちょっと気にしてる。・・・・いやっ、別に好きとかじゃないよ? でも、昨日塾サボっちゃったし」
「ほぇ〜、そうなの」
「うん・・・・」