36.8℃の微熱。
 
ピシャリ。

そう言い切られてしまって、あたしは返す言葉もなかった。

本当にそうだから、余計に・・・・。


「とにかくね、茜ちゃん」


そう言うと、ユカ様は飲んでいたコーラをズズッと吸って、真剣な目をあたしに向けた。

ここのところ、とんと見ていなかった友だちを想う目だ。


「浅野君のこと、もう王子様みたいに思うのやめなさい。浅野君だって“男”なの。ちゃんとそういう目で見なきゃ」

「・・・・それって、恋愛対象として見ろってこと?」

「どう見るかは茜ちゃん次第よ。でも、そうやって見ることで何か見えることがあるんじゃない?」


見えること、かぁ。

あるかな、あたしに・・・・。


「あ、あと、先生のこともね」

「え? なんで?」

「比べるってわけじゃないけど、そのほうが茜ちゃん的に楽なんじゃないかと思って」


・・・・そ、そういうものなのか?

でも、それでこのモヤモヤした気持ちが晴れてくれるなら。


「そっか、分かったよユカ様。あたし意識して見てみる!」

「頑張れ!」
 

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