36.8℃の微熱。
 
でも、どうしてだろう。

悔しくて悲しくて、認めたくなんてないけど、どうにも涙がこぼれて仕方がなかった。

先生のこんな台詞、いつものあたしだったらムキになるか軽く流すか、それくらいの度量があってもおかしくない。

なのに“女の子”として見てもらえないのだと自覚したとたん、それが心にグッサリと突き刺さり、涙となって溢れてきた。


「ちょっ、泣くなよ江田ちゃん!冗談だって冗談!ほら、いつもみたいに突っ掛かってきてよ!」

「えっぐ・・・・!」

「なんでだよー。そんなに俺、傷つけること言った?」

「えーっぐ・・・・!!」

「なんだよもー。泣かれるのだけは苦手なんだって。謝るからさ、機嫌直してよ江田ちゃんっ!」


先生は、いきなり泣きはじめたあたしに慌てふためいている様子。

言葉の節々から感じるに、泣かれるのだけは苦手だというのはあながち嘘ではないらしい。


何があっても絶対に泣くもんかと決めていたのに、あたしもなにもここで泣かなくたって・・・・。

でも、止まらないのが涙。

しばらくは泣き止めなかった。
 

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