36.8℃の微熱。
 
ホント憎らしい。

あたしには何を言っても許されるとでも思っているんだろうか。

言っておくけどお釈迦様みたいに広くはないよ、あたしの心は。

いっちょ前に傷つきもするし、第一あたしは人間だし・・・・神様みたいになれるわけない。


「江田ちゃーん、悪かったって。今日はもういいからさ、家に帰ってゆっくり休みな? んで、元気になったらまた塾おいで」


それからどれくらいの間、泣いていたんだろうか・・・・。

一時の感情に任せて流していた涙も枯れかけた頃、先生が言った。

その声に顔を上げると、これ以上ないというくらいに困惑の表情を浮かべた先生と目が合う。

すぐにプイッとそらしたけど、次に聞こえた言葉にまた顔を向けることになってしまった。


「もう言わないから。許してよ江田ちゃん。江田ちゃんに泣かれると、ホント困る」

「それって・・・・」


“どういう意味ですか?”と言いかけてハッと口をつぐんだ。

先生の言った言葉に、あたしが期待するような意味はない。

・・・・っていうか、何をどう期待するっていうのよ。
 

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