36.8℃の微熱。
・・・・っていうか、聞きたくない。
さり気なく運動神経いいのを自慢されても突っ込む気力もないよ。
「なんやかんやで人に押されて、踏ん張り効かなくて閉まりかけたドアにごっつんこ」
キターー!!
やっぱりそうですか・・・・。
“ごっつんこ”なんてかわいらしい言葉を使っても、全然かわいくないですけどね。
「あれは痛かったなァ。なんで親切に拾った俺がひどい目に遭わきゃなんないんだって話だと思わない? 江田ちゃん」
「ま、まぁ・・・・」
キレイに赤く跡になっているおでこをさらに近づける先生。
もう、冷や汗全開だ。
有無を言わせぬ迫力で同意を求める先生に、あたしはどうしても否定の言葉を言えなかった。
「だから、運の悪い俺をかわいそうだと思って名前書いてよ。江田ちゃんには恩返しをする責任があるワケだしさ」
それに気を良くしたのか、先生はニンマリ笑って言葉を続ける。
目!! 目が笑ってませんけど!!
・・・・かわいそうなのはあたしだと思うあたしは変なのかしら。
いやいやいや。