36.8℃の微熱。
 
「ちょっと」「あの」「ねぇ」と何度か割って入ろうとしたけど、あたしの声は届いてくれない。

それどころか、2人はますます声を張り上げだした。

しまいには話の内容が大きくずれて、全然関係のないことでケンカをおっ始める始末。


ケガこそしているけどサトルさんは元気そうだし、ユカ様も変わったところはないみたいだし。

・・・・ぶっちゃけ、あたしってここにいる意味あるのかな。


「ほら、友だちにきちんと謝れ、ユカ!お前のためにわざわざ来てくれたんだぞ!」

「あーもーっ、うるさいなぁ!言われなくても分かってるよ!」


そんな疑問を持ちだした頃、どうやら話は元に戻ったらしく。

サトルさんにそう言われたユカ様はくるりとあたしに向き直った。


「ホントにごめん!めちゃくちゃごめんっ!! どうやってお詫びをしたらいいか・・・・。とにかくごめんなさいっ、茜ちゃん!!」


さっきまで目を吊り上げて怒っていたユカ様から一変、心底申し訳ないといった表情でガバッと頭を下げるユカ様。

その横で、同じようにサトルさんも頭を下げる。
 

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