36.8℃の微熱。
───*。゚
ガヤガヤ、ガヤガヤ。
お昼時の混雑ぶりは、普通のお店でも海の家でも、どこでもたいして変わりはないらしい。
ココ・・・・『海の家 どすこい』もおかしな店名のわりに大繁盛だ。
結局、あれからいろいろとすったもんだしたあげく、あたしはまだココにいる。
午前中からずっと、店の奥で海に背を向けてむくれているのだ。
「ごめんってぇ〜。茜ちゃんは何でも好きなの食べていいからさ、ちょっとでいいから笑ってよぉ」
と、そこに接客の合間をぬってユカ様が声をかけに来た。
これでもう15回目・・・・数えるあたしもあたしだけど、わざわざ様子を見に来るユカ様もユカ様だ。
いっそただの“ユカ”に格下げしてやろうか、こんにゃろめっ。
「ねぇねぇ、茜ちゃんってばー」
「・・・・そんなこと言われたって。面白くもないのに笑えないもん」
「うーん・・・・」
「・・・・」
タダ飯は魅力的だけど、それで釣られるあたしじゃないのさ。
なんてったって、来てほしかったのは違う人だったんだから。