36.8℃の微熱。
 
───*。゚



ガヤガヤ、ガヤガヤ。

お昼時の混雑ぶりは、普通のお店でも海の家でも、どこでもたいして変わりはないらしい。

ココ・・・・『海の家 どすこい』もおかしな店名のわりに大繁盛だ。


結局、あれからいろいろとすったもんだしたあげく、あたしはまだココにいる。

午前中からずっと、店の奥で海に背を向けてむくれているのだ。


「ごめんってぇ〜。茜ちゃんは何でも好きなの食べていいからさ、ちょっとでいいから笑ってよぉ」


と、そこに接客の合間をぬってユカ様が声をかけに来た。

これでもう15回目・・・・数えるあたしもあたしだけど、わざわざ様子を見に来るユカ様もユカ様だ。

いっそただの“ユカ”に格下げしてやろうか、こんにゃろめっ。


「ねぇねぇ、茜ちゃんってばー」

「・・・・そんなこと言われたって。面白くもないのに笑えないもん」

「うーん・・・・」

「・・・・」


タダ飯は魅力的だけど、それで釣られるあたしじゃないのさ。

なんてったって、来てほしかったのは違う人だったんだから。
 

< 193 / 555 >

この作品をシェア

pagetop