36.8℃の微熱。
 
「お前なぁ、ちょっとは茜ちゃんの気持ちも考えてやれよ。普通に笑えるわけねぇだろ」


そう言って、無理にあたしを笑わせようとあれこれ手を尽くすユカ様を止めるサトルさん。

足のケガのためにバイトができないサトルさんも、あたしと同じくずっと店の中で過ごしていた。


「それはそうだけどさぁ・・・・」

「分かってんならもういいだろ? 早く仕事に戻りな」

「うん・・・・じゃあね、茜ちゃん」


サトルさんに諭されて、小さく手を振りながら再び仕事に戻っていったユカ様。

こう何度も来られると、嬉しいんだけど許すタイミングが・・・・。

実はもうそんなに怒っていないんだけど、ついまだ怒っているフリをしてしまう。・・・・あたしもなかなか頑固だからなぁ。


「はぁぁー」


なんとなくため息。

友だちづきあいも難しいもので、そうそういつも円満ってワケにはいかないんだよね。


「あ、またため息だ」

「え? あ、すみません」


サトルさんにも言われちゃうなんて、あたしってばどんだけため息ばかりなんだろう。
 

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