36.8℃の微熱。
 
なんだか申し訳なくなって苦笑いで謝ると、サトルさんはお茶目な顔をして言った。


「いいよー。ため息なんて誰だってつくし。ほら、俺だって」


そして、大げさなくらい大きなため息を「はぁぁぁ〜・・・・」とついて“ね?”と笑う。

そんなあからさますぎるため息がおかしくて、知らない間につられてあたしも笑っていた。


駅で2人がお互いの名前を呼び捨てにし合っているのを見たとき、もしかしてって思ったんだ。

ユカ様が本気になっちゃいそうって言っていた人はサトルなんじゃないかな、って。

だって、こんなふうに優しく気遣ってくれる人なんだもん。・・・・聞くタイミングがなかったけど、なんとなくそう感じる。


「ねぇ、サトルさんって、もしかしなくてもモテるでしょ?」

「・・・・なんだよー、いきなり」

「んー、なんとなくそうなんじゃないかなって。会ってまだ1日目だけど、それでも分かるくらい、いい人なオーラが出てる」


ホント、ユカ様も“期間限定”なんて言っていないで本気で狙っちゃえばいいのに。

お似合いだと思うんだけどな。
 

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