36.8℃の微熱。
やがて空に満天の星たちがキラキラと輝く頃まで、あたしたちはいろんな話をした。
寄せては返す穏やかな波音を聞きながら近況を報告しあったんだ。
あたしのほうは、悲しいかな特にこれといった進展も報告もなかったんだけれど。
ユカ様はやっぱり、あたしが直感した通りサトルさんに恋をしてしまったみたいで。
「・・・・実を言うとさ、あたし、昨日のことでサトルが好きだって自覚したんだー」
と、珍しく素直に話してくれた。
「やばいよね、夏だけの彼氏を作るつもりだったのに本気になっちゃうなんて」
「あれだ、ミイラ取りがミイラになっちゃう、ってヤツ?」
「まさしく・・・・」
困ったように、でも嬉しそうにはにかむユカ様は、あたしの知っている普段のユカ様からはちょっと想像できなかったけど。
こんな乙女な顔をすることもあるんだと思うと、同じ高1なんだって勝手に嬉しくなる自分がいた。
だってユカ様って、本当にクラスの女子の中じゃ見た目も中身も大人なんだもん。
正直、たまに“同い年?”って思うこともあったから。