36.8℃の微熱。
一夏だけの期間限定なんて、そんなのもったいなさすぎるよ。
“期間限定の彼氏”を否定も肯定もするつもりはないけれど。
でも、どうせなら、ユカ様にはサトルさんとハッピーエンドになってもらいたいし、その先もずっと長く続いてもらいたい。
それくらい、本当にお似合いの2人だと思うから・・・・。
だから、ユカ様にはステキな恋の花火を打ち上げてほしいと思う。
それがあたしのささやかな、でも心からの願い・・・・。
と、そこに───・・。
ザクッ、ザクッ、と、誰かが砂浜をこちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。
ユカ様と2人、振り返ってその人物が誰なのか目を凝らして見てみたのだけれど。
「うわっ、眩しい!」
「眩しいっ!」
相手は懐中電灯を片手に近づいてくるものだから、逆光で顔が全く分からなかった。
やがてあたしたちの目の前で懐中電灯を消したその人は、まずあたしに顔を向けたようで。
「海の家にお客さん来てるよ。茜ちゃんの同級生の子と、妙にカッコつけた大人の男」
と言った。