36.8℃の微熱。
 
けれど───・・。


「すみません、店長さん。今、サトルさんからあたしにお客さんだって聞いたんですけど・・・・」

「そうそう、なんとかしてよ、あの2人。うるさくてかなわない」


・・・・うるさい?

『海の家 どすこい』の店長、マリアンヌさん───推定35歳、性別・オカマ、にものすごく渋い顔で顎を指され。

その先を恐る恐る見てみると。


「やっと戻ってきた!どこ行ってたんだよ、茜!」

「江田ちゃん、こんなウザイ男がいるなんて、俺、お母さんから聞いてないんだけど」


と、一瞬だけ予想したありえない組み合わせの2人が肩を並べてあたしを待っていた。

なんなんだ、これは・・・・。

こんな場所に俺様魔王まで来てしまったなんて、あたしにこれからどうしろっていうの。

2人の顔を見た瞬間、ガックリとその場に崩れ落ちそうになっていると、マリアンヌさんの声。


「あら茜ちゃん、イケメンをいっぺんに呼び寄せちゃうなんて、アンタもなかなかねぇ。パラダイスだわ〜」


パ、パラダイス!?

地獄だよ・・・・。
 

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